HKネットコンサルティング(HKNET)の原脇です。数年前、総額1,000万円規模になるWeb制作に関わったことがあります。たくさんの専門家が関わり、何か月もかけて一つのサイトを作るプロジェクトでした。
今は、AIを使うことで、当時は専門家がいなければできなかった工程の一部を、自分一人でもかなり進められるようになっています。この記事では、当時の経験をもとに、大きな制作に費用がかかる理由と、AIで変わったこと・今も人が必要なことを、工程ごとに整理しました。ホームページにどれくらい費用をかけるか迷っている方の参考になればと思います。
※関わった案件が特定されないよう、時期などは一部ぼかして書いています。
この記事の結論
- 大規模なWeb制作に費用がかかるのには、ちゃんと理由があります。多くの専門家が現地に足を運び、何か月もかけて作るからです
- 今はAIで、コンセプトの整理、ページ構成、文章やデザインの案、コーディングなどの一部を、一人でもかなり進められるようになりました
- ただ、「その会社が本当に伝えたいこと」を引き出すこと、実物の写真、デザインの細かな仕上げ、品質や保守には、今も人の経験が必要です
- 「AIを使えば、大規模なサイトが安く作れる」という話ではありません。予算が限られる地方の会社でも、Webに挑戦しやすくなってきた、というのが自分の実感です
なぜこの話を書くのか
今は、AIを使って自社のホームページを作ったり(Codexで自社のホームページを作ってみた)、お客様のWordPressサイトを直したりしています。その中で、以前関わった大きなWeb制作と比べて、仕事の進め方がかなり変わったと感じています。
一方で、地方の中小企業では、100万円、500万円、1,000万円という費用を、いきなりホームページにかけられる会社ばかりではありません。補助金や十分な予算がなければ、難しいこともあります。
AIがここまで進化する前、当時の自分はどう感じていたのか。AIで実際に作ってみた今だからこそ、当時の費用感や、関わった人たちの動き方と比べて、今はどうなのかを整理しておきたいと思いました。自分自身でも、その差や変化を、改めて感じてみたかったからです。
当時関わったWeb制作
どんなプロジェクトだったか
観光系のWebサイトを作る、比較的大きなプロジェクトでした。総額は1,000万円規模で、コンセプトづくりから、数か月かけて進みました。
自分の立場
当時の自分は、今ほどコードを書けず、エンジニアではない立場に近かったと思います。
担当していたのは、主に次のような仕事です。
- 検索エンジン(SEO)を踏まえた、集客の設計
- サイトから、どう集客につなげるかを考えること
- 利用する人が見やすい構造と、必要なページ構成
- 既存のWebサイトの確認と、情報の整理
- 仕様の整理と、制作されたページのチェック
- 制作する側と、現場の人たちをつなぐこと
「どうコードを書くか」よりも、「何を作るべきか」「どのページが必要か」「どんな構造なら分かりやすいか」「どう集客につなげるか」を考える役割でした。
関わった人
- サイトを持つ組織の側:十数名ほど
- 制作する側:Webデザイナー、デザイン・ブランドづくりの担当、コピーライター、プロジェクトをまとめる仲介・ディレクションの担当(3名ほど)、プロのカメラマン、コーディングの担当、ほかにも制作に関わる人たち
なぜ1,000万円規模になったのか
ただWebページを作るだけではなかったからです。制作する側の人たちが実際に現地に来て、次のようなことを行いました。
- その地域を知る(泊まって、現地を見て回る)
- 関係する人たちに話を聞く
- サイトのコンセプトを作る
- 写真を撮る
- 記事を作る
- デザインする
- HTMLやPHPなどで形にする
- 修正する
そのため、人件費だけでなく、交通費や宿泊費、写真撮影、コピーライティング、デザイン、ディレクション、コーディングに、それぞれ費用がかかります。
大規模な制作に費用がかかるのには、それだけの理由があると理解しています。
AIで変わったこと、今も人が必要なこと
2026年の今、ChatGPT、Claude、Codex、Claude Code、画像生成AIなどが進化し、当時は専門家がいなければできなかった工程の一部を、自分一人とAIでもかなり進められるようになったと感じています。
工程ごとに整理すると、次のようになります。
| 工程 | AIで変わったこと | 今も人が必要なこと |
|---|---|---|
| コンセプト・企画 | 誰に届けるか、何を伝えるか、サイトの構成、キャッチコピーを、AIと話し合いながら深く考えられる | その会社が本当に何を伝えたいのかを引き出し、AIの案を判断する人 |
| デザイン | かなり納得できるデザイン案を作れる | 細かな余白、文字のバランス、印刷物、ブランド全体の統一といった仕上げ |
| 写真 | 画像生成AIが大きく進化した | 実際の商品や場所、光、空気感、その瞬間の様子を写す、プロの写真 |
| コーディング | 以前は自分で実装できなかったことも、形にできる | 細かな使い勝手、特殊な仕様、セキュリティ、運用、長い期間の保守、品質 |
コンセプト・企画
AIと話し合いながら、誰に届けるか、何を伝えるか、サイトの構成やキャッチコピー、サービスの見せ方まで、かなり深く考えられるようになりました。
ただ、「その会社が本当に何を伝えたいのか」を引き出すのは、人の役割です。会社の人と話しながら大事なことを整理し、その情報をAIに渡し、出てきた案を判断する。この役割は、とても大きいと思っています。
デザイン
今はAIでも、かなり納得できるデザイン案を作れるようになっています。
一方で、細かな余白や文字のバランス、印刷物、最終的なレイアウト、ブランド全体の統一といった仕上げの部分では、今もプロのデザイナーの経験が必要な場面があります。
写真
画像生成AIは大きく進化しました。それでも、実際の商品や場所、光、空気感、質感、その瞬間の様子は、プロのカメラマンが撮った写真に、まだ価値があると思っています。2026年9月の時点で、「生成AIですべての写真撮影を置き換えられる」とは考えていません。
また、今ある写真を生成AIで加工すると、商品や人物、建物の配置など、変えてはいけないところまで変わってしまうことがあります。実物の正確さが大事な写真は、生成AIを使わない画像編集ソフトで調整する必要があると感じています。
コーディング
ここは、特に大きく変わったと感じています。以前は、HTMLやCSS、PHP、JavaScript、WordPressに詳しいエンジニアが必要でした。今はAIを使うことで、以前は自分で実装できなかったことも、かなり形にできます。
自分の感覚では、AIだけで70〜80%以上の完成度まで、一気に進められるケースがあります(実際に測った数字ではありません)。ただ、最後の細かな使い勝手、特殊な仕様、セキュリティ、運用、長い期間の保守、見つけにくい不具合、品質の部分では、人の経験が必要です。
自社のホームページでは、サイトとして見せられる最初の形まで、約20〜30分でした(概算)。ただし、取材や撮影、ブランドづくりまで含む大きな制作とは、規模も内容もまったく違います。
地方の中小企業の現実
地方の中小企業には、事務の担当者がいない、経営者が事務まで抱えている、という会社もあります。ホームページを作れていない、SNSをしたいけれど手が回らない、という会社もあります。
そうした会社にとって、最初から大きな費用をWebにかけるのは、簡単ではありません。
AIによって、以前は多くの専門家がいなければ形にすらならなかった仕事を、一人の事業者でも、かなり高いところまで作れるようになりました。その結果、予算の少ない地方の中小企業でも、Web制作や業務改善、データの活用、システムの導入に、挑戦しやすくなっていると感じています。
浮いた時間と予算を、どこに使うか
「AIが専門家を不要にした」とは考えていません。
AIに任せられる部分は任せて、人は「何を伝えるか」「誰に伝えるか」「本当の課題は何か」「何を選ぶか」に時間を使う。これが大事だと思っています。
AIで減らせる制作の工程は減らし、浮いた時間や予算を、コンセプト、お客様の理解、サイトの導線(見た人がお問い合わせまでたどる流れ)、集客、業務改善、コンテンツといった、本当に大事な部分に回す。そういう使い方ができる可能性が高まっていると考えています。
注意したいこと
- AIで作る時間が短くなっても、「何を伝えるか」を考える部分まで省いてしまうと、見た目は整っていても、伝えたいことが伝わらないサイトになりかねません
- 生成AIで作った写真を、実在の場所や商品のように見せないようにする
- 公開した後の保守やセキュリティは、どんな作り方をしても必要です
ツールが変わっても残る考え方
AIのツールは、数か月で機能が大きく変わります。今「AIでできること」も、すぐに変わると思います。
変わらないのは、「誰に、何を伝えるか」を決めることと、そのための自社の情報を持っておくことです。自社のデータ、お客様の情報、仕事の流れ、判断の基準、これまでの記録は、どのツールを使うときにも生きてきます。
どんな会社に向いている考え方か
向いている
- 限られた予算で、まずホームページの形を作りたい
- 自社が伝えたいことを整理するところから始めたい
- 小さく作って、使いながら育てていきたい
別の考え方が合う場合
- 取材や撮影、ブランドづくりまで一度に作り込みたく、そのための予算も確保できている(プロのチームに頼む価値があります)
- 何を伝えるかを考える時間を、社内で取ることが難しい(まずは、話を聞いて整理してくれる相手を見つけるのがおすすめです)
よくある質問
Q. 高額なホームページ制作は、無駄なのでしょうか?
A. 無駄だとは思いません。多くの専門家が関わり、現地に足を運び、時間をかけて作る分、費用がかかるのには理由があります。目的と予算に合っているかで考えるのがよいと思います。
Q. AIを使えば、制作費はどれくらい安くなりますか?
A. 金額は一律には言えません。形にする作業の時間は減りましたが、何を伝えるかを考える時間や、確認・修正、写真などの費用はなくなりません。費用の考え方は、AIでホームページを作ると制作費用や制作工程はどう変わるのか で書く予定です。
Q. 小さく作って、後から広げることはできますか?
A. できます。WordPressなら、ページや記事を後から増やしていけます。最初からすべてを作り込まず、使いながら直していく進め方もあります。
Q. 補助金を使って作る方がいいですか?
A. 使える制度は、年度や地域によって変わります。国の補助金や支援制度は、中小企業庁が運営する「ミラサポplus」(mirasapo-plus.go.jp)で探せます。実際に申し込む前には、商工会・商工会議所や、お住まいの市町村の窓口で、最新の条件を確認してください(2026年9月16日 確認)。
まとめ
- 大規模なWeb制作に費用がかかるのには、理由があります
- AIで、コンセプトの整理やデザインの案、コーディングなどの一部を、一人でもかなり進められるようになりました
- それでも、伝えたいことを引き出すこと、実物の写真、デザインの仕上げ、品質や保守には、人の経験が必要です
- AIで作る時間が減った分、「何を伝えるか」「誰に伝えるか」に時間を使うことが大事だと考えています
AIの進化は本当にすごいと感じています。それでも、最後に人が関わらないとできない部分、100%、あるいは100%を少し超えるところまで持っていく熱量や感覚は、まだAIだけでは難しいと感じています。
デザインやコーディングにかかる時間や費用はかなり抑えられるようになったので、これからは、多くの会社がホームページを持つのが当たり前になっていくと考えています。そのうえで次に取り組みたいのは、浮いた時間を、その会社専用に必要な機能や、改善したいこと・改善できることを形にする時間に使うことです。たとえば、商品の予約をホームページから受け付ける機能のように、これまでは簡単には実装できなかったことも、できるようになってきました。
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相談について
ホームページの作り直しや、更新に時間がかかっているといったご相談も承ります。
今の仕事の中で、時間が掛かっていることや、「もう少し楽にできたら」と思っていることがあれば、一度お聞かせください。 AIやWebを使うことで、改善につながる方法がないか一緒に考えます。

